映画「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」の違いとは?

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トム・ハンクス主演の映画「オットーという男」は、スウェーデンの小説「幸せなひとりぼっち」を原作にした作品です。

原作「幸せなひとりぼっち」は、2015年にスウェーデンで映画化されていて、アカデミー賞にノミネートされるほど名作と評価の高い作品です。

この記事をお読みの方の中には「『オットーという男』と『幸せなひとりぼっち』の違いが知りたい」という人もいると思いますので、今回は両作品の違いを解説したいと思います。

なお、両作品を比較するにあたり、「幸せなひとりぼっち」は小説版ではなく映画版の表現を採用しています。

※この記事は「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」のネタばれを含みますので、まだご覧になっていない方はご注意ください。

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目次

「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」の違い

映画「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」の違いをまとめます。

主人公の年齢の違い

「オットーという男」の主人公オットーの年齢は63歳

一方「幸せなひとりぼっち」の主人公オーヴェの年齢は59歳です。

なぜ2人を違う年齢に設定したのか明らかではありませんが、もしかすると2人の「会社の辞め方」の違いが原因なのかもしれません。

「オットーという男」のオットーは定年(自主退職?)で会社を辞めたのに対し、「幸せなひとりぼっち」のオーヴェは会社をクビになっています。

もしかすると、「オットーという男」では会社をクビになるという表現を避けたかったのかもしれませんね。

冒頭のクレームシーンの違い

「オットーという男」も「幸せなひとりぼっち」も、ともに主人公がレジでクレームを言うシーンから始まるのですが、お店と購入する物が次のように異なります。

  • オットーという男:ホームセンターでロープを買う
  • 幸せなひとりぼっち:花屋でお供え用の花を買う

「オットーという男」の主人公オットーは、自身が首を吊るためのロープを買おうとして、長さの表記を巡って店員とトラブルを起こしました。

一方「幸せなひとりぼっち」のオーヴェは、亡くなった奥さんのお墓に供えるお花を買いに来たところ、価格の表記方法に関してクレームをつけます。

ちなみに、「幸せなひとりぼっち」でお花を買うシーンは、「オットーという男」でもちゃんと受け継がれていました。

それは、オットーが首吊りに失敗したとき、床に敷いておいた新聞に「ブーケが特別価格で2束8ドル」という広告を見つけ、奥さんのお墓にお供えしたシーンです。

両作品でピンクのお花をお供えしていたので、どちらの奥さんもピンク色のお花が好きだったんでしょうね。

向かいに引っ越してきた人の違い

「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」では、主人公の家の向かいに外国人夫婦が引っ越してくる設定は共通しているのですが、国籍が次のように異なります。

  • オットーという男:メキシコ系
  • 幸せなひとりぼっち:ペルシャ系

「オットーという男」で向かいに引っ越してきたのは、メキシコ系のマルソルとトミー夫妻。

一方「幸せなひとりぼっち」では、ペルシャ系のパルヴァネとパトリック夫妻です。

ちなみに、両夫妻が主人公あてに持っていく料理も違いがあります。

「オットーという男」のマルソルはメキシコのチキン料理を、「幸せなひとりぼっち」のパルヴァネはサフランライスをそれぞれ挨拶がわりに主人公に届けました。

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なお、主人公のお礼の表現にも微妙な違いがあって、「オットーという男」のオットーは「興味深い料理をありがとう」とメモ書きしたのに対し、「幸せなひとりぼっち」のオーヴェは「うまかった ありがとうと」素直なメモ書きを残しています。

走馬灯の違い

「オットーという男」も「幸せなひとりぼっち」も、自ら命を絶とうとするときに走馬灯を見るのですが、それぞれ内容が大きく異なります。

  • オットーという男:奥さんとの思い出がメイン
  • 幸せなひとりぼっち:お父さんとの思い出プラス奥さんとの思い出

「オットーという男」では、オットーのお父さんの話はほとんど登場せず、思い出のシーンは奥さんとのものばかりです。

一方で「幸せなひとりぼっち」では、奥さんとの思い出はもちろん、オーヴェが幼い頃から青年期にかけての父親とのシーンが多く描かれています。

この点は両作品の大きな違いのひとつで、「幸せなひとりぼっち」の方が回想シーンのボリュームが多く、その分「オットーという男」と比べてより主人公に感情移入しやすいかなと感じています。

奥さんとの出逢い方の違い

「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」では、主人公と奥さんは共に電車の車内で知り合い、結婚します。

しかし、両作品では2人の出逢い方に微妙な違いがあります。

  • オットーという男:ホームで奥さんが落とした本を届けた
  • 幸せなひとりぼっち:たまたま電車で乗り合わせた

「オットーという男」は、駅のホームで奥さんが愛読書「巨匠とマルガリータ」を落としたのを向かいのホームにいたオットーが拾い、彼女に届けるという内容でした。

一方「幸せなひとりぼっち」では、火事で家を失ったオーヴェが電車内で眠っていたところ、向かいに偶然座ったのが後の奥さんという設定です。

ちなみに、「幸せなひとりぼっち」の主人公の奥さんであるソーニャが電車内で読んでいたのも、「巨匠とマルガリータ」でした。

なお「巨匠とマルガリータ」はロシアの名作で、とても評価が高い作品なので、興味がある方はぜひ手にとって読んでみてください。

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青年期の職業の違い

奥さんと出逢ったとき、「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」では主人公の職業が違います。

  • オットーという男:無職
  • 幸せなひとりぼっち:鉄道の整備工

「オットーという男」では、奥さんと出逢った頃の青年期のオットーは無職でした。軍隊に入ろうと思っていたのですが、生まれつきの心肥大の影響で入隊できなかったんです。

そのため、オットーはお金がなく、奥さんとのレストランでの初デートでは、メインディッシュを食べられずスープだけを飲んでいます。

一方の「幸せなひとりぼっち」のオーヴェは、鉄道の整備工という職に就いていたので、ある程度のお金はありました。

しかし、給料はそれほど高くないようでしたし、家を火事で失っていたので、金銭的に苦しかったという点では同じだったかもしれません。

ピエロに渡したコインの違い

「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」では、病院でピエロと揉め事を起こすシーンがありますが、ピエロに渡したコインの意味が異なります。

  • オットーという男:1964年発行の純銀製25セント硬貨
  • 幸せなひとりぼっち:普通のコイン?

「オットーという男」に登場するコインは、物語を通じてとても大きな意味を持っています。

それは、亡くなった奥さんとの思い出が詰まった「貴重なコイン」であるという点です。

そのため、ピエロにコインをすり替えられたとき、オットーは激昂してピエロを殴ってしまいます。

一方「幸せなひとりぼっち」でオーヴェがピエロに渡したコインは「普通のコイン」であったと思われ、あまり深い意味はありません。

オーヴェが怒ったのはおそらく硬貨の金額が変わっていたからであり、コインに亡くなった奥さんとの思い出があるという表現は皆無です。

運転教習で立ち寄ったカフェで食べたものの違い

両作品で、主人公は向かいに越してきた奥さんに車の運転を教えるシーンがありますが、このとき立ち寄ったカフェで食べるものに違いが見られます。

  • オットーという男:スウェーデンのお菓子「セムラ」
  • 幸せなひとりぼっち:ミルフィーユ

「オットーという男」では、原作がスウェーデンの小説という影響もあってか、スウェーデンの伝統的なお菓子である「セムラ」が登場します。

セムラは、スウェーデンのお菓子屋さんやパン屋さんでは置いていないところがないくらい定番のお菓子で、別名「春を呼ぶスイーツ」とも呼ばれています。

見た目はシュークリームみたいで、オットーは「潰れないように指でそっとつまむように食べる」と語っています。

一方「幸せなひとりぼっち」で食べているのは、普通のミルフィーユです。

しかし、食べ方に少し癖があって、かならずフォークでミルフィーユを叩いて潰すのが、主人公オーヴェの流儀みたいです。

なお、「毎週土曜日の午後1時に夫婦でカフェに来ていた」という点については、両作品で共通していました。

旅行先の違い

主人公の奥さんは、両作品とも旅行中のバス事故で下半身不随になりますが、その旅行先が異なります。

  • オットーという男:ナイアガラの滝
  • 幸せなひとりぼっち:スペイン

「オットーという男」では、壮大なナイアガラの滝のシーンがとても印象的です。

一方、「幸せなひとりぼっち」ではスペインに旅行に来ており、特にスペインの建築物にスポットが当てられていました。

両作品はアメリカとヨーロッパという違いがあり、旅行先もそれにあわせて変更されたのだと思います。

「不動産屋」と「ヘルパー」の違い

「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」では、「悪者」が登場して、最終的に主人公を中心とした住民たちが退治するというストーリー展開なのですが、その悪者の職業と役割に違いがあります。

  • オットーという男:不動産屋(建物からの立ち退きを要求)
  • 幸せなひとりぼっち:ヘルパー(主人公の親友を無理やり施設に入れようとする)

「オットーという男」に登場する悪者は、「ダイ&メリカ不動産」という会社の人間です。

オットーがこの町に夫婦で越してきた頃からの付き合いであるアニータとルーベン夫妻に対し、不正な手段を使って立ち退きを迫りました。

一方「幸せなひとりぼっち」に登場する悪者は、役所から派遣された施設のヘルパーです。

病気で動けなくなったオーヴェの親友ルネを、無理やり施設に入れようとしました。

ちなみに、悪徳な不動産屋による地上げ行為は、「幸せなひとりぼっち」でも描かれています。

まだオーヴェが青年の頃の話で、オーヴェが「白シャツの男」と呼んだ悪徳不動産屋は、建物の老朽化を理由に立ち退きを迫った挙げ句、放火をして無理やりオーヴェや他の住人たちを追いやりました。

SNSと新聞の違い

両作品に登場する「悪者」ですが、最終的には主人公をはじめとした町の住人たちのチームプレーにより撃退されます。

このとき、大きな役割を担ったのは2人の女性記者なのですが、彼女たちの職業に微妙な違いがありました。

  • オットーという男:SNSリポーター
  • 幸せなひとりぼっち:地元新聞の記者

「オットーという男」で悪者退治に協力したのは、SNSリポーターの「シャリ」という若い女性でした。

オットーが駅構内で線路に落下した人を救助した姿がSNSで拡散され、その取材に訪れたのです。

一方で「幸せなひとりぼっち」で取材に訪れたのは、地元の女性新聞記者です。

彼女はオーヴェが駅で人助けしたとき、たまたま同じホームに居合わせていました。

「幸せなひとりぼっち」が公開されたのが2015年なのに対し、「オットーという男」は2022年ですから、新聞よりSNSのほうが時代背景にマッチすると考えたのかもしれませんね。

映画「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」のまとめ

今回は映画「オットーという男」と「幸せなひとりぼっち」の違いを解説しました。

細かい部分を拾えばもっとたくさんの違いがあると思いますが、そのあたりは実際に観ていただいた際のお楽しみにしていただければと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

なお、下の記事では両作品を視聴できる動画配信サービスをご紹介していますので、気になればチェックしてみてください。

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