映画「グレイテスト・ショーマン」の口コミを見たけど、意外と「嫌い」っていう人が多いな…。何が嫌いなんだろう?
ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画「グレイテスト・ショーマン」は、出演者たちによる圧巻の歌や踊りのパフォーマンスが盛りだくさんで、観ている人を元気づけてくれる作品です。
しかし、中には本作品のことを「嫌い」と感じている人も少なくないようです。
そこでこの記事では、映画「グレイテスト・ショーマン」が嫌いと言われてしまう理由について考えてみたいと思います。
※本記事は、映画「グレイテスト・ショーマン」のネタバレを含みますのでご注意下さい。
なお、ネタバレなしのあらすじや感想を先に知りたい方は、下の記事をどうぞ。
「グレイテストショーマン」が嫌いと言われる理由
映画「グレイテスト・ショーマン」が嫌いと言われてしまう理由として、僕は2つの理由があると思っています。
- 金儲けのために「フリークス」を利用した
- 成功した途端、劇団員たちから距離を取ろうとした
一つずつ説明します。
金儲けのために「フリークス」を利用した
映画「グレイテスト・ショーマン」が嫌いと言われてしまう最も大きな理由のひとつに、金儲けのために当時「フリークス(奇形)」と呼ばれた人たちを利用したという点があります。
主人公のバーナムは、たまたま机の上に置いてあったりんごを見て、少年時代にりんごを渡してくれた「フードをかぶった女性」のことを思い出しました。
そして、バーナムは「彼女のような見た目の人を集めた『見世物小屋』を作ろう」と思いついたのです。
バーナムの計画は的中し、劇場は連日超満員。
少年時代からずっと苦しい生活を強いられてきたバーナムでしたが、「バーナムサーカス」の成功により、彼は巨額の富を築き上げたのです。
この部分だけ読むと、映画「グレイテスト・ショーマン」を「アメリカン・ドリームを掴んだ男の成功物語」という風に捉えることができるでしょう。
しかし、本作品が「嫌い」と思われてしまうのは、金儲けのために当時差別的な扱いを受けていた「フリークス」と呼ばれる人たちを、見世物として利用したことに嫌悪感を抱かれやすいのが原因かと思われます。
成功した途端、劇団員たちから距離を取ろうとした
「バーナムサーカス」は見事大ヒットとなり、大きな屋敷に住めるまで上り詰めたバーナムでしたが、成功した途端に劇団員たちから距離を取るようになりました。
ここも、映画「グレイテスト・ショーマン」が嫌いだと感じるポイントかもしれません。
具体的には、次の2つのシーンです。
1つめは、ジェニー・リンドがアメリカで初めて公演を行なったときシーン。
バーナムの相棒フィリップは、劇団員たちを特別席に案内しようと考えていましたが、バーナムはその案を「目立つから」という理由で却下し、立見席で観覧させるよう指示しました。
2つめは、ジェニー・リンドの公演が終わったあとの打ち上げ会場でのシーン。
会場にはいわゆる「上流階級」の人たちがたくさん集まっていたのですが、劇団員たちがその会場に入ろうとしたとき、バーナムはそれを阻止しました。
彼がこのような態度を取った理由は定かではありませんが、本作品を観た方の中には「散々劇団員たちを利用した挙げ句、成功した途端に手のひらを返したような態度を取るなんて許せない!」という風に感じた方も多いのではないでしょうか。
それでも「グレイテストショーマン」を嫌いになれない2つの要素
ここまで読むと、まるで主人公のバーナムがとても嫌な人間に感じる方もいると思います。
確かに僕もそのように思う部分もあるのですが、見方を変えると、本作品を毛嫌いできない理由も見つかります。
その理由というのが、次の2つです。
- バーナムも迫害を受けてきた一人
- 劇団員たちに生き甲斐を与えた
それぞれ解説します。
バーナムも迫害を受けてきた一人
1つめの理由として、主人公のバーナム自身も幼い頃から迫害を受けてきた人間だという点です。
バーナムは仕立て屋の息子として生まれ育ちましたが、暮らしは決して楽なものではなく、いつもボロボロの服や靴を身に着けていました。
彼は幼い頃に両親を亡くし、父の死後は路上で盗みをはたらくなどして、何とか食いつないでいました。
当時の状況を、成人となったバーナムは次のように回顧しています。
親父も僕もゴミのように扱われた
映画「グレイテスト・ショーマン」より
そんなバーナムが巨万の富を築けた理由のひとつに、少年時代から受け続けてきた「屈辱」があったのではないかと、僕は考えています。
バーナムの中には「いつか成功して自分をバカにしてきた上流階級の奴らを見返してやるんだ」みたいな煮えたぎる思いが心の奥底にあって、それが彼を突き動かす原動力になっていたのではないかということです。
そんなある日、彼は少年時代に「りんごを渡してくれた女性」のことを思い出し、当時「フリークス」と呼ばれていた人たちを集めてショーをしようと考えます。
このときバーナムは、彼らを利用しようとしていたのではなく、「自分と同じ境遇を受けている人たちと一緒に世間を見返してやろう」と考えていたのではないでしょうか?
その証拠に、バーナムは経営者の立場でありながら、開園当初は彼らと共にステージに立っています(時には「ペテン王子」と書いたシルクハットをかぶりながら)。
容姿を見世物にしてお金を稼ぐというのは、褒められたことではないのかもしれません。
しかし、バーナムには彼らを金儲けの道具として使おうという意図はなく、純粋に「同じ仲間として成功しよう」としていたのではないかと、僕は考えています。
劇団員たちに生き甲斐を与えた
2つめの理由として、「バーナムサーカス」によって劇団員たちに生き甲斐を与えたという点も挙げることができます。
当時、劇団員たちは市民から冷たい目で見られ、働くことはおろか人間らしい生活さえも否定されていました。
そんな時、バーナムという一人の野望を持った人物が現れ、彼らの人生を一変させたのです。
そして、劇団員たちは口を揃えてバーナムサーカスを「家」と呼び、バーナムに対して感謝の心を抱いていました。
あんたバカね
分かってない
母親にすら疎まれ
存在も隠されてた
救ったのはあなた
なのに見捨てないで
ペテン師で目的は金儲けだったかも
でも本当の家族をくれた
映画「グレイテスト・ショーマン」より
上記は劇団員のレティ(髭の生えた女性)のセリフで、彼女の言う通り、バーナムの目的は金儲けだったのは間違いありません。
しかし、結果的に劇団員たちに生き甲斐を与えたのは間違いのない事実であり、本作品の素晴らしい部分であると僕は感じています。
映画「グレイテストショーマン」を嫌いな理由まとめ
今回は、映画「グレイテスト・ショーマン」が嫌いと言われる理由について書いてみました。
映画の舞台となった19世紀といえば、上流階級と労働階級には天と地ほどの隔たりがある時代です。
労働階級が上流階級に成り上がるのは、想像以上に大変な時代だったと思われます。
確かに、バーナムが劇団員たちの容姿を見世物にしてお金を稼いだという手段は、正直言って褒められた行為ではありません。
しかし、結果的に劇団員たちに生きる希望を与えたという点では、意義あることだったのではないかと思います。